2025年12月21日をもちまして、はしもと珈琲館は閉店いたしました。
今日まで本当にありがとうございました。
これまで長い年月にわたりご愛顧くださった皆さまへ、心からの感謝を込めて、歩みを綴らせていただきます。
1977年、東京から白老に引っ越し、「喫茶はしもと」を開店してから、もうすぐ半世紀になります。
コーヒー豆の品質管理をしていた主人が脱サラをし、ふたりで始めた小さな喫茶店でした。
開店当時は、ちょうどブロック崩しやインベーダーゲームが流行った頃。
店内にも数台置いていて、夜遅くまで若者たちが集い、賑やかな笑い声に包まれていました。
遠くからもたくさんの方が「はしもと」に遊びに来てくださって、本当に楽しい時代でした。
その後、少しずつ形を変えながら、1985年には「白老窯(旧工房)」を開き、1991年には修学旅行生や企業・福祉関係の皆さまを受け入れる陶芸体験工房を開設。

さらに1993年にはうつわギャラリーを増設し、器づくりと珈琲を通して、より多くの方にものづくりの温もりを感じていただける場所となりました。
当時敷地内には、小さなログハウスを並べて「はしもとメルヘン村」と名づけ、陶芸体験やキャンドル作り、万華鏡づくりなど、子どもたちの笑い声がいつも響いていました。
そして2008年、「喫茶はしもと」は「はしもと珈琲館」として生まれ変わりました。
夜中までにぎやかだった喫茶店は、ゆったりとした時間が流れる落ち着いた空間へと変わり、地場産の食材を使ったお食事を楽しみに来てくださるお客様が多くなりました。
お食事とともに、サイフォンで丁寧に淹れた珈琲をゆっくり味わっていただき、食と珈琲の両方を通して、皆さまにくつろぎの時間をお届けできる場所となりました。

2016年に主人が旅立ってからは、少し寂しい日々もありましたが、主人から受け継いだ焙煎の技術を守りながら、「今日もおいしい珈琲を」と心を込めて続けてまいりました。
バリアフリー対応にしたのも、誰もが気軽に来られる場所でありたいと思ったからです。
和室では赤ちゃん連れのお母さんや、ご近所の方々がおしゃべりに花を咲かせてくださり、そんな日常のひとこまひとこまが、私にとって大切な宝物になりました。
そしてこのたび、2025年12月21日をもちまして、「はしもと珈琲館」は閉店させていただくことになりました。
長い年月の中で出会えたすべての方々に、心からの感謝を申し上げます。
隣の「はしもと陶芸館」は、これからも営業を続けてまいります。
器とともに、皆さまの暮らしの中に、あたたかな珈琲の香りが広がっていきますように。
これまで本当にありがとうございました。
はしもと珈琲館
店主 橋本紀子
- 追伸 -
はしもと珈琲館は、地元の社会福祉法人へ寄付させていただきました。
この場所は、今後あらたな店舗として生まれ変わる予定です。
その日を、楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。